海辺の散歩道には猫がいる。
近寄ると特に懐きもしないが、特段警戒することもない。
ほどほどに撫でさせてやるよってな感じで薄目で見て、嫌になれば少しだけ距離をおくように離れる。
数値化し単純化することは分かりやすくし、伝達力や効率を高めるチカラがある。
あらゆる比較対象は数値として評価され、順位づけされることでその良し悪しを一般化させられる。それは幼き日の私自身でさえ例外ではない。
そうして数値化することには大きな恩恵もあるが、それと同時に失っているものにも目をやってほしい。
猫は数値化できない。
いや実は猫も数値化できるのかもしれない。ただ数値化してしまった時に失うものがあまりにも大きすぎるのだ。
それが目に見えているからほとんどの人間は猫を数値化しない。
きっと数字の裏側にはたくさんの人の時間が流れている。