スペインの家電
ここ一ヶ月半くらいスペインの小さな町の一軒家で生活しています。
それだけ長く生活しているわけですから炊事や掃除、洗濯と日本で暮らしているのと同じように日々家事をこなしています。
スペインに長く滞在はしていますがスペイン語はほとんどわからないので、家電の使い方なども「これっぽい」とか「そうやるっぽい」などだいたいの勘で使ったりしています。
こういう全く(ほとんど)言語の分からない国で機会や何やらを使ったり動かそうとしたりすると、必然的にそのユーザーインターフェースやアフォーダンスが重要になってきて、場合によっては全く使い方が分からないということもあったりするのです。(などと少しデザイナっぽいことを考えたりもします)
そういうことは珍しい話でもなくて、旅に出て異国の地で洗面所の水の出し方がわからないといった話はよく聞く話です。海外に行ったことのある方はそういう経験が1度くらいはあるんじゃないでしょうか。
幸いスペインでは全く使えなくて困ったということはほとんどなかったのですが、一つ気がつくことがありました。
複数のモード(選択肢)の中から一つを選ぶといった場合に、白物家電はDial UIを好んで使用しているようです。
もちろんこれは私の観測範囲での仮説なのでたまたまということもあるのかもしれませんが、それにしてもどれもそういう感じでした。
洗濯機
青く光っているボタンが電源ボタンで電源を入れると軽やかな音とともにdialの部分が光るのでこれを何かするんだなとわかります。dialを回してみるとAlgodonだったりDelicadoだったり選択されたところが光るとともに、右側のパネルに表示される数字や光る項目が変わっていくのでこれは何かモードを選択しているんだなと分かった気がしてきます。
右側のパネルには「計量・洗浄・すすぎ・脱水」のようなアイコンがあるので、とりあえずそれらがすべて光って良さそうなのを選び、「再生・一時停止」っぽいボタンを押して洗濯するといった感じ使っていました。
右端のdialや白いボタンたちは何やらわからないので使わない。
また大概の場合よく使う標準的なモードは初期位置の近いところにある事が多いので、そのあたりのを選んだりします。
洗濯機は滞在後半に排水口部分が詰まったのか?途中で止まってしまったりして大変でしたが、なんとか使うことができました。
乾燥機
乾燥機はアイコンらしいものがなく、ラベルはすべて文字でボタンとdialというUIでしたが幸い読める文字があって助かりました。(全然読めなかったら勘で動かしてみまくるところでした)
とりあえずボタンを押してみても何も反応しないので、右側のdialを見ます。
OFFのところを指しているので、洗濯機同様回してモードを選択しろということだなと思い回してみると、予想通り選択したものに応じて左側の項目が光ったり数字が表示されたりします。
とは言え、なんなのかは相変わらずわからないので「EXTRA-SECO」はExtraで良さそうだったことでそれを選び、「START」ボタンを押して開始。
重要な文字が読めたおかげで無事使うことができました。
電子レンジ
電子レンジは比較的読める文字と数字の組み合わせだったのでわかりやすかったです。
ただ最初に出力数なのかなんのかわからない90, 180, 360...と書かれたボタンを押してから時間をセットする必要があり、最初だけとりあえずいろいろ触りまくって習得したという感じです。それに時々時刻設定モードらしきものになっていることがあり、出力の選択ボタンが押せずよくわからないので時計ボタンっぽいものを押すなどして回避してやる必要がありました。
扉に取っ手はついておらず、startボタンの下のフラットなボタンらしきものを押し込むと扉が開く仕掛けになっており、まぁなんとかわからないこともなかったですが、分かりやすいものではないなと思いました。
ちなみに電子レンジが動作している時に扉を開けることができて、日本の製品の場合であれば大概止まるのですが、これは止まらなかったので少しドキドキしました。
オフィスにあったレンジも同じような感じでしたがそちらは扉を開けると止まりました。
現地のスタッフはよく途中で扉を開けて止めたりしてたので、不用意に閉めたりするとまた動き出したりしてびっくりすることなどありました。
オーブン
グラタンを焼いたり、豚や野菜をローストしたり、冷凍で売ってるできかけのフランスパンやチュロスを焼いたりとオーブンも何度も使いました。
このオーブンはほとんど図柄と数字で表現されていて、なんとなく何を表そうとしているのか汲み取れたので、初めてでもそんなに困ることなく使えました。
モード選択dialの左側3つはいまいちよくわかりませんでしたが、それ以外は「これは上下からのやつだな」とか「これはトースターだな」と何となく予想できる感じで、回すとすぐに作動して温め始めてくれるので分かりやすかったです。
ちなみにオフィスにあったオーブンはdialが7つもあり、dialの側面にtextとiconが書いてあるタイプでした。
一つはモード選択だったのですがそれだけでは動かず、いまいちよくわからなかったです。タイマーらしきdialは増やす方には回せるけど減らす方には回せず、とめるためにはモード選択のところをOFFにする必要がありました。ただそれでもタイマーは動き続けるので、誰かが使っていてジリリリリリとなるけど誰も来ず大丈夫かな焦げないかなと最初の頃は思っていました。
ちなみに
カリフォルニアのPalo Altoに滞在していた時の洗濯機もdialでモードを選択するタイプのものだったのですが、startボタンらしきものが全く見当たらないというものでした。幸い現地の人に使い方を教えてもらったのですが、それは回してモードを選択してそのdialを手前に引くと動くというものでした。
dialを押してみようと試みることはあっても手前にひいてみようと思うことはないだろうなぁと思って何を考えてこうしたんだろうと思ってことがあります。
おかげでそれ以来、わからなかったら押す・回すだけでなく「ひいてみる」ということも覚えましたが…。
日本でも説明書を読まないと使い方がよくわからないものはあったりしますが、海外だとやはり顕著に体験することができます。その上でどこをどう操作すれば良いというアフォーダンスであったり、図柄など文字が読めなくても理解することができる無言語化UIが重要になってくるのだと思います。
とは言え、そういったものは簡単にできるようなものではなく、下手をすると余計にわかりづらくなるといったこともあると思うので、慎重に考える必要はあると思います。
それで思い出すのはゲーム、特に任天堂の作っているゲーム内のインターフェイスであったり、レベルデザインは本当に優れているなぁと思ったりするのです。