スマートホーム×DIY 実践と展望 〜 2. 実践HomeKitの暮らし
引っ越して2ヶ月ほどの新しい自宅で試したDIYやスマートホーム関連のIoTデバイスなどを実践して試したことについて4回にわたって書いていこうと思います。
INDEX
実践HomeKitの暮らし
スマートホーム関連の製品はいくつかありますが、今回私が使っているのはHomeKit関連の製品です。特に強いこだわりがあったわけではありませんが、Apple系のデバイスを使っていることが多いとかそれくらいの理由です。
今回はHomeKit関連の製品を中心に実際に使ってみて感じたことやわかったことなどを書いていきます。
HomeKit対応照明 Koogeek vs Hue
スマートホーム関連で現状もっともメジャーな製品が照明ですが、我が家ではKoogeekというメーカーの製品とよく知られているPhilips Hueの照明を両方試しています。
※ Koogeekの製品には技適マークが確認できませんでしたので、使用のおすすめはしません
Koogeek WiFi Smart LED Light Bulb
まずはKoogeekの方の照明ですが、Hueの一般的な照明と同じく仕様上1600万色に変える事ができます。
その上Hueの同程度レベルの製品よりも安く、Hueの方がランプ1つあたり7,000〜8,000円であるのに比べて、Koogeekの方はランプ1つあたり3,000〜4,000円と半額くらいの価格で購入することができます。
また、Hueの場合は照明単体でネットワークに繋げることはできず、ネットワークに繋げるためには別途Hubを用意する必要がありますが、Koogeekの場合は照明単体でネットワークに繋げることが可能です。
少しイマイチな点があるとすれば、Hueに比べてアプリのできが少し良くないかなぁという感覚はありますが、まぁアプリは設定する時くらいには使わず、大体の操作はHome AppかSiriなどで操作するので問題にはなりません。
Philips Hue ホワイトグラデーション ランプ
我が家ではHueの中でもホワイトグラデーション ランプを使用しています。日本で買えるHueの照明でも2種類あり、いろいろな色に設定できるランプと白色〜昼光色のみ設定できるホワイトグラデーション ランプがあります。
実際に生活している中でいろんな色にしよう・したいという場面はほとんど無いのでホワイトグラデーション ランプくらいで十分に良いと思います。
価格も一つ3,300円くらいとKoogeekと同じくらいの価格で購入できるので良いです。
ただし先程も書いたとおり、ネットワークにつなげようとする場合は別途ハブが必要になります。
私の場合は色々と試した結果Hueのホワイトグラデーション ランプが最も実用的で良いかなと思いました。ハブの問題もありますがそのあたりを用意することも含めてHueのほうが良いかなと。それについてはHue Dimmer Switchのところで詳しく書きます。
実際に使ってみた照明の感想と良かったこと
HueやKoogeekの照明は6〜10畳くらいの部屋ならだいたい3つあれば部屋全体を明るくできます。
我が家にも各部屋に3つずつ設置しているわけですが、この場合はHome App上で同じ部屋のランプをグループとしてまとめておくと良いです。
グループとしてまとめないと照明を一つずつ設定する必要がでてきてしまいます。細かく調整したいという場合はいいですが、大体の場合は同じ部屋の照明は同じ設定にしたいことのほうが良いのでグループ化するのをおすすめします。
Home Appでアクセサリの詳細画面に移動すると「他のアクセサリとグループ化する…」という項目があるのでそこからできます。
実際にやってみてよかったシーン設定は、通常の白色(一番明るい)と昼光色(風のオレンジの明かり)と暗めの昼光色(明るさ30%)です。普段はこの3つで運用しています。
暗めの昼光色を作っておくとカフェ風な感じで作業に集中できたり、まったりできるのでおすすめですよ。
Home Appでは細かい設定がやりづらかったり、同じ設定をコピーしたりということができないので、そのあたりがやりやすくなるアプリを作ろうかなと検討中です。
結局、物理ボタンのHue Dimmer Switch
スマートフォンやスマートスピーカーで操作できるようにした照明関連ですが、結局のところ物理ボタンはやっぱり欲しくなってきます。(本末転倒感ありますが…)
理由としては自宅に居る時に常にスマートフォンを持っていなかったり、持っていても結局手間だったりするので、正直物理ボタンの方が楽だしわかりやすいからです。(もしもスマートスピーカーを各
部屋に一つずつ設置してて簡単な命令でオンオフできるならソレでも良いかな…)
通常の照明の電源は常にオンにしておかないとネットワークからの操作ができなくなるため、普通に消してしまうと意味がなくなってしまいます。
そこでソフトウェア的に照明をつけたり消したりできるボタンが欲しくなってくるわけですが、現状もっとも手っ取り早くできが良いのがHue Dimmer Switchだと思います。
スマートスイッチ系のデバイスは他にもいくつかありますが、おおくは既存のスイッチ事取り替えるものであったりして、なかなかハードルも高く導入しづらいです。
Hue Dimmer SwitchはHomeKitのスイッチアクセサリとして使うことができるので、(少しできることに制約がかかりますが)Hueの製品以外にも使用することができます。Home App上でスイッチが押されたイベントに対するシーンなどを設定することができます。(なので照明以外にも使おうと思えば使える)
ボタンは4つついているのでオン・オフ以外にもお好みのシーンを追加しておくことができるのも良いところです。
また、電池式なので電源ケーブルをひっぱてくる必要がなく、ボタンのところはリモコンとして取り外すこともできるので非常に便利です。
Hue Dimmer Switchを使用する場合はハブが必要になってくるので、初めて買って見る場合は先程おすすめしたホワイトグラデーション ランプと合わせて購入できるセットのPhilips Hue ホワイトグラデーション スターターセットを買うのが一番良いかなと思います。
玄関の照明を人感センサーで自動化
センサーを買う予定はなかったのですが、@tokoromさんが持っていたHomeKit対応のセンサー「Elgato Eve Motion」を貸していただけたので、それを使って玄関・廊下辺りの照明を自動でオン・オフするようにしています。我が家の場合、玄関あたりには採光用の窓がなく昼間でも暗いのでつけたり消したりが割りと手間なので自動でついてもらえると便利です。
買い物から帰ってきて両手が塞がっていても自動でついてくれて便利! 今では玄関の照明を手動でオンオフすることはなくなりました。
センサーは当初玄関辺りに置く感じで運用していましたが、反応する範囲をもう少し広くしたかったので、玄関前の廊下の天井に貼り付けました。
10秒〜20秒くらいの間隔でインターバルを設定していて、センサーに反応がなければ自動に消えるようにしています。
HomeKit対応のセンサー類は正直価格的にはすごく高いので、おすすめはできません。
Eve Motionは6,000円くらいですが、HomeKitには対応していない単なる人感センサー付きLED照明なら2,000円くらいで買えたりするので…。
デロンギ マルチダイナミックヒーター
HomeKit対応のヒーターなどのエアーコンディショナー製品は(日本では)まだほぼない状態です。デロンギが出しているマルチダイナミックヒーター Wi-Fiモデル MDH15WIFI-SETは日本では数少ない(というか公式にはこれだけと思われる)HomeKit対応ヒーターなので買って試しています。
ちょうど我が家はリビングにしかエアコンが無くて、普段作業をしているダイニングや寝室にはエアコンが無くて寒い思いをすることもありました。エアコンでリビングとダイニング両方温めてももったいないなぁと感じていましたし、デロンギのヒーターを導入してみたという感じです。
デロンギのマルチダイナミックヒーターはオイルヒーターでもなく放熱板を直接ヒーターで温めるだけのヒーターでファンもありません。なので、すごく静かで温まった若干の気流のみがでていて「陽だまり」という表現がピッタリです。
エアコンは温まった風を送風するので部屋全体がすぐに温まりやすいという利点はありますが、乾燥しやすいというデメリットもあります。また、風を受けることによって体感温度としては実際よりも低くなりがちです。
オイルヒーターの場合はまずオイルを温めてそれが放熱板を温めるという方式なので、マルチダイナミックヒーターよりも温めるのに時間がかかってしまいます。
マルチダイナミックヒーターは本当に静かでついているかどうかも全く気づかないくらいに静かです。他の方がブログでレビューを書いていましたが、その方も「静かすぎて点けているのに気づかずに外出してしまう」と書いていたほどです。ちなみにこの点私はHomeKit対応のものなのでオートメーションを組んで外出時に自動でオフにするようにしています。
マルチダイナミックヒーターのレビューでは「全然温まらない」といった評価がよく見受けられますが、これは求めているものがマッチしていないか、使い方が間違っているところにあると思います。
私は基本22℃くらいの設定にしていて、暖かいとも感じないけれど寒いとも感じない(ほんのり暖かいかも?)くらいの温度に設定しています。あと窓際に置くというのも重要で部屋から放熱される大半が窓からの冷気によってですので、それを遮る意味でも窓際に置くことは重要です。
なので体感的には暖かいとは感じませんが、廊下に出てみたりするとすごく寒かったりするわけで、確実に部屋を適温に温めてくれているんだなと実感できます。
ちなみに電気代は22℃くらいの設定であればエアコンと同等か安くすむくらいになります。
HomeKit対応のWiFiモデルはかなり高額なので手が出しづらくはありますが、個人的に運用して使ってみた満足度はかなり高いです。(最近は家で作業したり過ごしてることも多いので非常に役立っています。)
ホームハブの設定 〜 AppleTV
HomeKitはHomeKit対応製品とネットワーク機器、それとHome Appの入ったiPhoneなどのデバイスだけでも使えますが、その場合リモートからアクセス・操作したり、オートメーションを組んだり、他の人にもアクセス権限を与えたりといったことができません。
そのあたりをできるようにするためには、常時自宅で稼働するホームハブを設定する必要があります。ホームハブはiPadかAppleTVで設定することができますが、AppleTVがあればAppleTVにしておくのが良いと思います。
AppleTVをホームハブに設定する場合は、Apple ID に 2 ファクタ認証を設定する必要があります。PCなどで2 ファクタ認証を設定したあと、AppleTVでもそのアカウントでiCloudにサインインすると自動的にホームハブとして設定されます。
ホームハブの状況を確認するには、「設定」>「アカウント」>「iCloud」>「HomeKit」で確認することができます。
また、外出時や帰宅時に動くといったオートメーションを作成する場合は、位置情報サービスの設定をする必要があります。
iPhone側では「設定」>「プライバシー」の「位置情報サービス」をオンにし、さらにその下の方にある「ホーム」の「位置情報の利用を許可」で、「この App の使用中のみ許可」を選択した状態にします。
AppleTV側では「設定」>「一般」>「プライバシー」の「位置情報サービス」をオンにし、「位置情報サービス」の「HomeKit」を「常に許可」に設定します。
このあたりをきちんと設定しておかないとオートメーションを組んでも、ちゃんと動かないなど悩むことになるのでチェックしておきましょう。
このあたりの設定については HomeKit アクセサリを自動化してリモートからアクセスする に詳しく書かれています。
オートメーションで快適にする
HomeKitはオートメーションを使うことでもう一段回便利になるので、ぜひオートメーションを使うことをおすすめします。
私の場合は先ほども紹介した人感センサーイベント駆動によるオートメーションとは別に外出時と帰宅時のオートメーションを主に運用しています。
外出時はすべての照明やヒーターの電源を自動で消すようにしていて、最近ではつけっぱなしでも気にせずに外出する感じになっています。先程も書きましたが、デロンギのヒーターはあまりの静かさについていることにも気づかなかったりするので、外出時に自動で切れるようにしておくと安心です。
また、帰宅時は自動で玄関とリビング・ダイニングの照明、ヒーターを点けるようにしています。ひとり暮らしが長いと寒い暗い部屋に帰ってくるというのに完全に慣れきっていましたが、オートメーションで点くようにしてからは「帰ってくると部屋が明るい!!」と部屋にすごい出迎えてもらってる感があって良かったです。
そのうちHomeKit? Siri? が「おかえり」とか喋りだして、より家に出迎えてもらってる感が増してくるのかもしれません。(というかこのあたりはスマートスピーカーとも連携すれば今にでもできそう)
ちなみに、照明がつくのは日の出・日の入の時間に合わせて暗い時間帯のみ動くように設定しています。
スマートロックやドアベルは今後…
スマートロックやドアベルについても当初から導入について検討していましたが、まだできていません。スマートロックの中ではQrioが有力候補で検討まではしていましたが、自分としてはコントロールできる部分が少ないと判断したため見送っています。(APIとかがあっていろいろと自分でカスタマイズできると嬉しいのですが)
なので、スマートロックに関しては自分で自作することを検討していて、ちょびちょび作業を進めています。こちらに関しても進捗がありましたら書いていこうと思います。
個人的にはスマートドアベルも一部の人には需要があるだろうなぁと思っているので、こちらに関しても常に最新の情報を追っかけたり調べたりしているのですが、まだ実際に導入はしていない感じです。
現状、普通の家だとドアベルがなったら玄関に行くか、備え付けの受話器などのところまで行って対応するという感じだと思います。最近ではスマートフォンででたりという事もできるので、そのあたりをもっと拡張して、Slackに通知してくれたり、そこでそのまま玄関のカメラの状況がみれたりということができても良いんじゃないかなぁと思っています。
またスマートロックと連携してそのまますぐに解錠するということももっとスムーズにできるんじゃないかなぁと。
肩慣らしアプリを作っています
最近、自分たちでアプリを作っていないなぁということで肩慣らし程度にちょっとしたHomeKit関連のアプリを作っています。
まずはToday WidgetにHomeKit関連のボタンをおけるという便利なのかそうでもないのかよくわからない簡単なアプリを作っています。(コントロールセンターにHomeKit関連のボタンを置けるようになったので正直そっちのほうが使うと思いますが…)
アプリはだいたいできてきたのでそのうち公開できると思います。(その際はぜひお試しください)
今回はHomeKit関連のデバイスを中心に実践してる内容などについて書きましたが、HomeKit以外のスマートホーム関連IoTデバイスを試したりもしているので、それらについてもまたの機会に書いていこうと思います。
ちなみに最近のお仕事ではHomekitなどのスマートホーム関連, AppleTVなどのTV向けAppやARKitなどのAR関連といった内容に関するお仕事をしていますので、よろしければご相談いただければと思います。 Spinners Inc.