マーケティング/商品企画のための ユーザーインタビューの教科書 読了
マーケティング・インタビューの方はかなり前に読んでいたのですが、いろいろと復習の意味も込めて最近出たユーザーインタビューの本を読みました。
内容としてはどちらも似たような感じではあるのですが、ユーザーインタビューの教科書の方が最近出版されただけあって、Webサービスやアプリ開発などに携わっている方が読みやすい内容になっているように感じました。
この本の内容のように、おおまかにどういうプロセスで進めていけば良いのか?やどういうことに気をつければ良いのか?ということは大概の本で語られることですが、もう少し踏み込んでインタビューする内容をどのように組み立てれば良いのか?という部分を詳細に解説してくれるとより良いですね。もちろん、その部分はどういうことを聞きたいのかによって、またはサービスや課題によって千差万別となってしまうので、すごく難しいことだと思います。ですが、そこをユースケースを交えながらたくさんの事例が紹介されていて、この場合はこう…となっているとそれぞれの読者にとってインタビューの計画をたてる参考になる気がします。
私は話を聞きながらメモをとったり、理解しながら次の道筋を決めたりといったマルチタスクがどうにも苦手なのですが、インタビューにはそういったスキルが求められるように思います。そこでインタビュー技術を鍛えるためにも、時には友達と何気ない話をしている時にそういったことを意識することはあります。そのときはだいたい話を聞いている自分とは違う、それを外から見ているもう一人の自分を意識していると良い気がします。 インタビューをしながらインタビュー自体をつねに評価している自分を置くことで、より客観性をもったインタビューができる気がしますし、ちゃんと聞きたいことを引き出せる意味のある時間を過ごせる気がします。
また、やはり事前に準備をしっかりしておくことはすごく重要だと思います。何においても言えることだとは思いますが、準備を怠っていると実際に始めた時に焦ってしまったり、台本ばかりに頼ってで臨機応変に聞くことができなくなってしまったりするからです。 本書でも書かれている通り、まずは以下の様な準備が必要です。
- インタビューを設計するにあたって、現状を把握する
- 聞きたいことが何なのかをはっきりさせるために、メンバー全員がどういうことを問題や課題として考えているのかなどの認識を合わせる
- インタビューの目的を決める
- 何のためにインタビューをするのか?本書だと以下の3つに分けている
- 機会探索型
- タスク分析型
- 仮説検証型
- 何のためにインタビューをするのか?本書だと以下の3つに分けている
- インタビューを計画する
- 誰に?(ターゲット)
- 何を?(内容)
- いつ?(スケジュール)
本書ではこれらについて詳しく解説しながら、インタビューする際に気をつけることやテクニックなどについて書かれており、インタビュー後のことについても触れています。
「聞く」ではなく「語ってもらう」
個人的にインタビューで重要だと思うのは、事実であるストーリーを集めることだと思っています。 インタビューと言うとどうしてもいろいろと質問をして「聞く」ことだと思うような気がしますが、マーケティングやサービス改善などのためのインタビューと言うのはユーザーがどういうことに困っているかなどの課題や体験談を「語ってもらう」ことでユーザーの感情も含めた事実を観ることができるように思います。 インタビューアーはできるだけ相手に気持よく話してもらうようにしながら、同時に自分の聞きたいことを探っていくという作業をするので、なかなかすぐにはうまくできないですね。この辺は、練習をするしかないように思います。
仮説が間違っているという前提
インタビューをするときには、ある程度こういうものを作ろうとしているなどのアイディアや仮説を持っているかもしれません。その場合それらは一旦忘れるか、もしくはそれは間違っていて何が間違っているのかをみつけるという姿勢でインタビューをするのが大切だと思います。
本書でもふれられていますが、持論に引っ張られて話を聞いていると自分の考えを肯定しようとした聞き方になっていたり、相手の考えを誘導するような(説得させるような)聞き方になってしまったりします。(確証バイアス) なので基本的には仮説は間違っているという前提を強く持つことが重要に思います。
話を聞くこと
話を聞くことというのは日常的に求められる能力なので、いろいろな場面でそれについて考えることがあります。 最近ではよく対談形式のようなPodcastを聞くのですが、これも大概聞く側と聞かれる側で進行されているように思います。 中でも個人的にはRebuild fmをよく聞いているのですが、他の似たようなPodcastと比べても話を聞く側の塩梅がとても気持ちよいなぁと思います。 聞かれる側が少し上の立場にあって、それを尊重しつつうまく話を引き出し、わかりにくそうな部分はリスナーに対しての補足も入れ、自分の意見も少しだけのせるという感じです。
逆に聞いていてうんざりするなぁと思うのは、聞く側のMCが自分の意見をずっと話していたり、質問の中に聞く側の意図をすごく感じるような言い回しをしていたり、まくし立てるように聞いていたりするものです。 Rebuild fmは話すテンポやトーンが落ち着いていて、ギスギスせずに落ち着いて聞いていられるのもよいですね。
Podcastそんなことを考えながら聞き比べてみると少しおもしろいように思います。Podcastの場合はただ聞くだけでなく、その場でリアルタイムにリスナーへ理解しやすいカタチにするという作業が必要になりますね。インタビューをしながら聞いた内容をまとめて提供しているするのでかなり良い訓練になりそうです。 また、友達と話している時もPodcastで流しているというイメージで話していると、少しインタビューに近い訓練になるのではないかなぁと思ったりします。
マーケティング/商品企画のための ユーザーインタビューの教科書 (Mynavi Advanced Library)
- 作者: 奥泉直子,山崎真湖人,三澤直加,古田一義,伊藤英明
- 出版社/メーカー: マイナビ出版
- 発売日: 2015/05/21
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マーケティング・インタビュー 問題解決のヒントを「聞き出す」技術
- 作者: 上野啓子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2004/07/30
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